研究概要 |
研究者は、未婚就労女性のための性感染症(以下STI)予防行動・検査受診行動促進プログラムを開発した。プログラムは1セッション60分(講義35分・視聴覚教材DVDの視聴13分・技術練習12分,質疑応答)で構成している。DVD,講義用パワーポイント教材,配布資料冊子は研究者自身が制作した。 開発したプログラムの効果を準実験方法と半構成的面接調査方法を用いて検証し、その結果,プログラムは,未婚就労女性のSTIに関する知識を増加させ,予防行動や受診行動をとる意識を向上させる効果があることを確認できた。本年度は,昨年度からプログラム実施者に必要な能力を明らかにするために以下の研究を実施した。1)対象:研究協力に同意を得られた女性看護職者24名。2)研究方法:研究デザインはフォーカスグループ・インタビュー法および自由記述質問紙による質的帰納的研究である。研究協力得られた看護職者を小グループ単位にし,開発したプログラムについての説明を行い,その後プログラムの内容や進め方が理解できるか,プログラムを実施するために必要な能力,条件,環境などについてグループ・インタビューを実施した。分析方法は同意を得て録音したインタビュー内容の逐語録を作成し,逐語録および自由記述質問紙から内容分析を行った。3)研究の倫理的配慮:関西福祉大学看護学部研究倫理委員会の審査を受け承認を得た。分析の結果、プログラム実践者を希望する看護職者は,STIに関する最新知識・情報,指導技術やカウンセリング技術のスキルアップを求めていた。プログラムの対象は,未婚就労女性に限らず、看護学生,看護職者等への応用が可能であり,また男性へのアプローチの必要性も確認された。プログラムの普及のためには,ネットワークづくりや啓発活動の継続の必要性が示唆された。
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