本研究は、高校生に対する性教育の効果指標としてセクシュアル・ヘルスリテラシー概念を考案し、その測定尺度を開発することおよびセクシャルヘルスリテラシーの向上に向けた性教育プログラムの開発を目的とするものである。平成21年度までにヘルスリテラシー概念に関する研究レビューを踏まえ、ヘルスリテラシーの3要素「機能的リテラシー」「相互作用的リテラシー」「批判的リテラシー」を測定しうるセクシュアル・ヘルスリテラシー尺度試作版の開発を試みた。尺度項目の内容および表現に関しては、専門家と度重なる検討を重ね、24項目からなる思春期向けセクシュアル・ヘルスリテラシー尺度試作版を作成した。予備調査として、本尺度を高校生413名に実施し、その信頼性・妥当性を統計的に確認した。信頼性の観点からは、尺度の内的整合性が高いことを明らかにした。妥当性の観点からは、その因子構造および他の変数との関連(性別、学年、性感染症・妊娠を心配した経験の有無、過去・現在の交際経験)を検討することにより、本尺度が一定の妥当性を備えていることを明らかにした。こうした成果を踏まえ、今後、本調査を実施し、実用性等の観点から、本尺度のさらなる洗練化を図る予定である。また、併せて、セクシャルヘルスリテラシーの向上を企図した教育プログラムおよび教材の開発も試みる予定である。
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