膨大な健康情報の中から、健康の維持・増進に役立つ情報を入手し、理解し、活用するための個人の能力であるヘルスリテラシーが注目されている。本研究は、高校生を対象とした性の健康に関わるリテラシー(セクシュアル・ヘルスリテラシー:SHL)の向上をねらいとして、1)SHL向上のための教育プログラムの作成、2)教育プログラム評価のためのSHL測定尺度の開発(とそれを用いた教育プログラムの評価)、の2点を主な目的とした。これらのセクシュアル・ヘルスリテラシーを向上するための教育プログラムについて、機能的リテラシーを向上させる目的で、セクシュアル・ヘルスに関する知識を得るためのドリル学習、相互作用的リテラシーを高めるスキルトレーニング、批判的リテラシー向上に向けた科学的根拠に基づく情報の分析等を提案し、学校教育関係者らに対して2日間の学習会・講演会を行い成果報告、伝達を行った。次いで、上述の教育プログラムを評価するためのSHL尺度の開発を試みた。2度の調査を実施し、SHL尺度の信頼性および妥当性の検討を重ねた結果、「機能的リテラシー」「相互作用的リテラシー」「批判的リテラシー」の3つの下位尺度計21項目からなる尺度が得られた。また、本尺度と、性に関する効力感や知識との関連も示された。今後は、本プログラムを各学校の状況に合わせて実施し、教育評価を行い、高校生のセクシュアル・ヘルスリテラシーの向上を目指すことと、学校教育関係者のスキルを向上させるための研修などを行う予定である。
|