本研究はグランデッドセオリーを用いて行っており、19〜20年度まで行った研究の理論的仮説をもとに、理論的サンプリングを開始した段階にある。前回の研究が全患者に水分制限を行うフィールドであったため、理論的サンプリングとして疾患によっては水分制限をしないフィールドを半年かけて確保し、現在データ収集を行っている。 まだ十分な対象を得られていない状況だが、水分制限を受けた子どもも受けてない子どもも、前回同様に「病院ではのどが乾かない」と共通の体験をしており、生理的欲求としては差がない傾向がみられた。また、入院生活では自宅と異なり自由に飲水できず、口渇を感じるとナースコールで水分を運んでもらうための他者への依頼が必要となり、飲水の機会そのものが減ることがわかった。よって、水分制限というだけではなく、入院したことだけで飲水方法の変化による飲水量の変化が起こっている可能性がある。 水分制限の有無による特徴的な違いは、水分制限をうけるこどもは医療者から水分制限の説明を受けても、その必要性は「そこが謎」と語り理解できてはいないが、子どもが自力で前向きに治療と取り組む感覚をもつことが出来ている。逆に、水分制限がない子どもは「何もなくてここにいる意味があるだろうか」と、入院生活に疑問を感じていた。更に、水分制限を受けていないこどもに、自分の身体変化を探ろうとする傾向が強化されていた。 更にデータを蓄積させ、検討したい。
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