研究課題
本研究は病院看護職を対象とした退院支援教育プログラムを開発し、評価することを目的としている。初年度である平成20年度は、病院看護職の退院支援教育ニーズを明らかにするための質問紙を検討した。退院支援の連携の現状を把握するために、退院支援部署看護師2名、訪問看護ステーション看護師11名を対象にインタビュー調査を行った。その結果、退院支援部署看護師からは、診療科ごと、病棟ごと、職種ごとに退院支援の認識、実施方法が異なり、院内連携が課題であることがあげられた。また、院内で退院支援に関する勉強会、研修会が行われているが、共通認識にはいたらず、共通のプロトコールがない現状であった。一方、訪問看護ステーション看護師からは、在宅生活に合った指導・介護力に合った指導がされていない、病状に対する理解について病院からの引継ぎと患者家族の理解とが異なることなど、病院看護職の指導が在宅療養から乖離していることが指摘された。しかし連携するための具体な要望については患者個々で異なるとして、語られなかった。退院支援の連携に関する文献検討の結果、退院支援のマニュアルは総論的なものが多く、各論は疾患ごと対応方法であり、事例紹介が多かった。これらより、病院看護職が行う退院支援について、患者の年代や疾患に関わらず、在宅で継続して行う必要がある処置についての退院支援プロトコールが必要であるとの結論に達した。そこで、現在「在宅酸素療法」「在宅中心静脈栄養」「胃瘻」「褥瘡」「尿留置カテーテル」「共通」の6項目について処置別の退院支援プロトコールを作成中である。さらに、病院看護職の退院支援教育ニーズの調査項目としてこの6項目を中心に構成することとした。