研究課題
本研究では、病院の病棟看護職を対象とした退院支援教育プログラムを開発し、評価することを目的とした。医療依存度の高い患者の在宅療養への移行には病院看護職と在宅看護職が中心になる必要があるが、病院看護職の退院支援への認識が低いことが指摘されていることから、教育のニーズがあると考え、平成20年から22年にかけて調査を行った。その結果、医療処置別の退院支援教育については病院看護部の病棟看護職全体に対する集合教育のニーズが低いことがわかった。また、患者の退院後の状況を把握しやすい環境にある病院は処置別の退院支援教育が必要であると回答しており、病棟看護職による退院支援の向上には、教育プログラムの内容だけでなく病院全体のシステムが必要であることが推察された。そこで23年度は、一般病床を300床以上有する急性期病院、1病院において、その病院のこれまでの退院支援システムをもとに、病棟看護職が積極的に退院支援に関われる退院支援システムを検討した。従来の退院支援プロトコールでは、病棟看護師と退院支援部署の役割分担が明確でなかったことから、病院内多部署の役割分担を可視化したプロトコールを医療処置の必要な患者の入院経過にそって作成した。在宅で援助頻度の高い医療処置(胃痩、尿留置カテーテル、ストマ)については医療処置ごとのプロトコールとせず、新たに作成したプロトコールに含めた。今後その効果を検証する予定である。