市町村合併後の保健師活動や保健師の認識の変化を把握し、今後の保健師活動の在り方を考えるうえでの示唆を得ることを目的として本研究を行った。市町村合併を体験した保健師の(統括的立場)60%以上は、市町村合併を肯定的に評価していた。しかし、合併直後と比較して、地区診断、住民と保健師の関わり、住民に提供できるサービスの量、保健師の効果的な配置、事務的作業時間等は、「やや悪くなった」と評価している人が30%を超えていた。保健師活動の方法は業務担当と地区担当制の併用を合併当初から継続して行っているのが72.2%と最も多かった。保健師は、合併直後から現在までに、業務体制の見直し、保健師の配置・所属の見直し、増員などを行ってきていた。保健師にとってプラスとなる変化には、連携、協力・共通意識、組織人としての自覚などが生まれているが、マイナス面では、仕事量の増加、専門性の低下を指摘する者もいた。諸外国の保健師活動でも、予防を中心とした地域保健活動を展開する保健師の活動が参考になる。今後、わが国特有の保健師活動として、地方自治体に所属して行う保健活動の特性を生かし、地域担当と業務の専門性を生かした活動の在り方を考察することが求められる。
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