従来老人保健法に基づいて行われていた骨折・骨粗鬆症予防対策は、1次2次予防においては市町村の責任で行われている。地域看護職による骨折・骨粗鬆症予防対策として地域看護職によって行われている健康教育や保健指導がどの程度科学的根拠に基づいて行われているかは明らかではなく、骨折・骨粗鬆症予防の現行施策が科学的に証明されている訳ではない。この状態を改善するために、本年度は市町村保健センターを対象に調査を行い、骨粗鬆症予防健康教育や検診の企画、実施、事業評価の実態と保健指導の内容を把握した。具体的には骨折・骨粗鬆症予防活動を行っている市町村における検診と健康教育プログラム開発や運営、実施状況を包括的にアセスメントするためのプロセス評価の概念を活用し、検診実施率、アウトカム評価の方法などを検討した。今年度はこれらのデータベースを作成し、地域看護職が行っている検診活動、健康教育事業のプロセスを評価した。その結果、骨粗鬆症検診は7割、健康教育は6割の実施率であったが、市町村別に差があった。健康教育のアウトカム評価として、受講率、食習慣や運動習慣の変化、リスク要因の変化等を設定し評価した。検診のアウトカム評価としては、対象選定の妥当性、検診プログラム等を設定し評価した。保健指導内容では、牛乳・カルシウム摂取、運動、転倒予防等の指導実施率が高かった。さらに、他の栄養素、嗜好品、体重管理など骨量減少に影響する要因を検討する必要性が示された。
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