骨粗鬆症とそれによる骨折を予防し、もって現在の健康日本21の取り組みである健康寿命の延伸と高齢期の高いQOLの維持に貢献するべく各種の地域看護調査を積み重ねてきた。健康日本21の柱でもある科学的根拠に基づいた対策の実施のために、申請者らは要介護高齢者の要因の1つである骨折とそれを起こす骨粗鬆症予防に焦点をあて、地域保健における骨折・骨粗鬆症対策がエビデンスに基づく検診や保健指導が実施されているかどうかを検討した。無作為抽出した施設において、骨粗鬆症予防対策のアウトカムについて、現場の保健師による評価を行い、保健師が実施する保健指導の有効性を評価した。科学的根拠に基づいたガイドライン有効性評価では、主要アウトカムをエビデンスに基づく程度とし、評価した。その結果、牛乳・乳製品、カルシウム摂取指導、ビタミンD摂取指導、運動指導、転倒予防における足腰筋トレーニングなどの指導はエビデンスに基づいた指導対策が取られていた。しかし、その他の生活指導や運動指導などでは改善されない項目が多かった。また、ガイドラインの有効性評価では、体格対策、カルシウム摂取、牛乳・乳製品、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、イソフラボン、大豆製品、運動習慣の形成、喫煙対策、転倒対策において有効性が高かった。これらのことから、骨折・骨粗鬆症予防対策で、保健師が行う保健指導の個々の指導内容のアウトカムが設定でき、エビデンスに基づいた看護アウトカム評価モデルがデザイン出来た。
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