高齢化戸建て団地では、共同体意識の希薄化、家族の小規模化、加齢に伴う健康問題や立地環境などの要因により、高齢者の孤立化問題を表出させている。そこで、本研究グループは、A団地を対象に、団地の将来を見据え、皆が高齢になっても安心して暮らせるコミュニティづくりを目指した予防的実践研究に取り組んでいる。コミュニティづくりの中核には、住民組織活動を位置づけ、住民組織と保健師等との協働活動をとおした住民組織形成モデルを構築し、住民と保健師の役割を明確にすることを目的にしている。 初年度は、住民組織の発足支援と住民組織の個別支援能力および集団支援能力の育成支援を行い、本年度は住民組織への継続的介入および他地域への波及を目指すとともに、協働活動の評価を行った。 1. 住民組織への活動支援と評価 (1) 住民組織が団地高齢者を対象に実施している集団支援(ミニデイ)への1年間の参加状況を分析した。約5割の高齢者が参加しており、団地高齢者同士の交流促進に効果的であることが認められた。また、非参加者についても、日頃の見守り活動によって全高齢者を把握しており、住民組織による個別支援および集団支援は、高齢者の関係的孤立予防や早期発見に効果的であることが認められた。 (2) 住民組織活動が団地住民の健康と暮しに及ぼした影響については、22年2月に、団地全高齢者104名を対象にアンケートを実施した。分析については、継続的に行う予定である。 2. 他地域への波及事業および評価 A団地におけるコミュニティづくりを他地域に波及させることを目的に「団地サミット2009」を実施し、参加者204名にアンケート行った。その結果、コミュニティづくりへの参加意識が芽生えた人の割合が約9割を占めた。さらに、2つの戸建て団地からコミュニティづくりを始めたいという表明があり、サミット実施の効果が認められた。
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