団塊的高齢化が特徴の戸建団地のコミュニティづくり取り組む住民組織形成モデルの構築とその過程における住民と保健師の役割を明らかにした。 戸建て団地におけるコミュニティづくりの展開は、1)地域診断による健康課題の明確化とビジョンの共有((1)戸建て団地の健康課題の明確化と協働活動、(2)団地住民代表とのコミュニティづくりの合意形成、(3)住民同士の出会いと対話を促進する場の設定、(4)健康課題の認識とコミュニティづくりのビジョンの共有)、2)コミュニティづくりを目指す住民組織づくり((1)健康づくりに取り組む自主グループの結成、(2)コミュニティづくりに取り組む住民組織の結成、(3)住民組織の活動体制の整備)、3)住民組織のコミュニティ・エンパワメント((1)住民組織の地域活動力育成、(2)住民組織の地域志向性の拡大)であった。 コミュニティづくりの展開過程における住民と保健師の役割は、夫々の強みや専門性を発揮する役割と協働の役割があった。住民は組織を結成し、民主的組織運営をしながら、団地の実態把握に基づく主体的学習を行い、団地住民への個別支援、集団支援、世代間交流行事の開催という直接住民に関わる役割を担っていた。その際、住民組織メンバーのリーダーシップの発揮とメンバーが中心となるネットワークによって住民の生活の場に出向き、団地全高齢者をつなぐアプローチは、特に重要な役割であった。一方、支援者は活動の道筋を示しつつ、住民組織の地域志向性を目指した主体的活動を支援する役割であった。その根底にはパートナーとしての信頼関係を基盤に、住民の認識段階を的確に捉え、その認識に即した具体的内容や方法の提案を適時に示す役割、つまり住民の中にある漠然とした判断を読み取り、意図的に明確にする役割を果たしていた。尚、保健師等支援者間の協議や研究活動によって根拠を探索し続ける役割の重要性も明らかになった。
|