研究概要 |
要介護(支援)高齢者対策における根拠を得るために,G市で平成15年4月から平成16年12月までの間に要支援または要介護と認定された全高齢者2,338人を追跡し、その後の変化と関連要因を検討した.1つ目は疾病の特徴を明らかにした.結果は(1)疾患の記載がないのは,男で8.2%,女で8.5%であった.記載された平均疾患数に男女差はなかった.(2)循環器系の疾患は男性の56.6%,女性の50.2%と半数以上が有し,男が女より多かった(p=0.01).(3)循環器疾患のうち,一番多いのは脳血管疾患の52.8%で,男が女よりも割合が大きかった(p<0.01).男女共に割合は加齢により減少し(男女p<0.01),要介護度が重度になるほど大きくなっていた男女(p<0.01).(4)筋骨格系及び結合組織の疾患は2番目に記載が多く,男性は23.1%,女性は39.8%で女が男よりも多かった(P<0.01).(5)損傷,中毒及びその他の外因の影響は男性では10.6%で、女性は13.9%と4番目に多い疾患であり,女性の割合が男性よりも大きかった(p=0.02).次に軽度者の麻痺,関節制限,移動,複雑動作と5年後の介護度の維持・改善ついてみた.結果は(1)年後の介護度の維持・改善は15.5%で,悪化(死亡含)は64.9%,不明19.9%であった.(2)麻痺有の男女計では単変量解析で「左下肢に麻痺が有」の者,「右下肢に麻痺が有」の者は5年後の介護度の悪化と有意に関連していた.(3)関節制限有の男女計では,「関節制限が有」,「股関節に関節制限が有」,「膝関節に関節制限が有」の者は維持・改善と有意に関連しており,多変量解析でも「関節制限が有」の者のORは1.91(p=0.01),「膝関節に関節制限が有」の者のORは1.66と5年後の介護度の維持・改善と関連していた(p=0.05)、(4)移動では男女計では「両足での立位保持はできない」,「歩行ができない」,「移乗はできない」,「移動できない」が有意に5年後の介護度・死亡と関連していた.(5)複雑動作では男女計で「洗身ができない」の多変量解析でのORは0.462で有意に悪化・死亡と関連していた.
|