前年度実施した在宅人工呼吸療養者を支援する看護職のセミナー参加者にアンケート調査およびインタビュー調査を実施し、在宅人工呼吸療養者を支援する看護職者のエンパワーメント方法について介入の評価を行った。本研究参加に同意の得られたセミナー参加者は20名であったが、介入後2回のアンケート調査に回答した参加者は16名だった。訪問看護師が11名、病棟看護師が5名であった。在宅人工呼吸療養者の看護の実施状況で、実施の頻度が少なかった項目は、病棟看護師が呼吸ケア以外の機能訓練、家族の療養指導、家族の相談、訪問看護師は排痰ケア、呼吸介助法であった。また、人工呼吸器管理、フィジカルアセスメント、排痰ケア、事例検討は、訪問看護師に困難感を訴えるものが多かった。介入前後の比較では、看護の実施状況に差は認められなかった。困難感を訴えるものの割合は、介入後1回目の調査では、人工呼吸器管理が62.5%から43.8%に、排痰ケアが62.5%から50.0%に、呼吸介助法が93.8%から62.5%に、吸引指導が61.5%から38.5%に、家族の相談が42.9%から28.6%に低下していた。セミナーの内容を看護実践に活かしているかについて、家族ケア、呼吸リハビリテーション、在宅人工呼吸器管理の実際は88%が活かしていると回答したが、事例検討については41%が活かしていない・活かす機会がないと回答していた。しかし、2回目の調査で事例検討を活かしていない・活かす機会がないと回答したものは12.5%に減少しており、事例検討など問題解決能力を高めるための演習を取り入れことが看護ケアの全体的なスキルアップに結び付くと思われた。また、1回目の調査終了後に実施した個別のインタビュー調査では、人工呼吸に特化した看護ケアより家族への対応等に困難感を抱く看護師も多いことから、対象者のニーズに即した教育内容を取り入れる必要がある。
|