1.「認知症高齢者おだやかスケール20項目改定版」の作成と評価者間一致率の検討 先に作成した認知症高齢者のおだやかスケール24項目について、評価者間一致率を高めるために一致率が低い評価項目について行動観察により評価しやすい表現に変更し、また似た内容の項目を削除して20項目改定版を作成した。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設(老人保健施設)、認知症対応型生活介護(グループホーム)に入所(入居)、通所介護、通所リハビリを利用している認知症高齢者延べ86名を対象に高齢者1名に介護職員2名でもって改訂版スケールを用いて評価して評価者間一致率を調べた。その結果、項目毎の一致率は35.1~56.1%で、変更した項目は前のスケールよりも一致率が高い結果を得た。 2.「認知症高齢者が語る人生観」についての調査研究 先の認知症高齢者のおだやかスケール20項目改定版を用いた評定において、老人保健施設及びグループホーム入居者で、80点満点の2/3以上、すなわち48点以上の得点を取得して比較的おだやかな状態であると評定され、日常会話が可能な高齢者13名を対象に、面接によって、これまでの人生を振りかえり一番楽しかったことは?などの質問を投げかけ、人生観を語ってもらい、その結果からスピリチュアル回想法の導入が可能か否かを検討した。結果、記憶障害や見当識障害はあるものの物語的に語れた者は8名、単語レベルで語った者は4名、会話が成り立たない1名であった。結果からたとえ認知症があっも軽度な段階では自分の人生観を語れることが明らかとなり、スピリチュアル回想法の導入も可能であるとの示唆を得た
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