研究課題/領域番号 |
20592650
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
榊原 千秋 金沢大学, 保健学系, 助教 (20367501)
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研究分担者 |
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
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キーワード | 排便ケアシステム / 排便障害 / ブリストルストールスケール / ソフトシステム方法論 / アクションリサーチ / 要介護高齢者 / 介護老人保健施設 / ケアリーダー |
研究概要 |
本研究の目的は、介護老人保健施設における排便ケアシステムの構築を目指したプログラムの開発と評価である。まず、入所者192人を対象とし便の性状をBristol Stool Scaleで明らかにした軟便群は23%、硬便群は11%だった。下剤を使用していた人は63%で、そのうち緩下剤の使用が27%、刺激性下剤の使用が18%、緩下剤と刺激性下剤の両方を使用していた人が18%だった。軟便者には刺激性下剤を使用している者が多かった。 排便ケアシステムを構築するため、2つのプログラムを作成しAとBの2施設で実施した。プログラムAは、The Bristol Stool Scaleを用いて便の性状をアセスメントして便通コントロールをする能力、および排便ケアリーダーが排便ケア改善計画を立案して実施し、評価する能力の育成のため、6ケ月間の研修会を実施した。プログラムBは、研修会後も引き続き6ケ月間、施設内における排便ケア改善計画の実施を支援するための組織内教育を加えた。プログラムの効果は1年後に評価した。入所者の便の性状は2つのプログラムとも1年後に有意に変化しており、軟便または硬便から普通便に改善した者の割合は、プログラムAが25.9%、プログラムBが48.3%だった。入所者の満足度は2つのプログラムとも有意に高くなった。2つのプログラムとも刺激性下剤を使用しない者の割合は有意に増加しており、施設全体の緩下剤の使用量は有意に減少した。プログラムBは、以上の成果に加えて、スタッフの排便アセスメントの実施度は有意に高くなり、排便ケア改善計画の目標のすべてを達成した。しかし、A施設では目標の一部が達成できなかった。以上の結果より、研修会により、スタッフの便の性状のコントロール能力の向上の効果が示唆された。さらに研修会後に組織内教育を行うことで、施設内の排便ケアのシステムの構築における有効性が示唆された。
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