研究概要 |
本研究の目的は、精神科病院に入院または通院中の統合失調症患者の配偶者が、統合失調症という病いとその患者、日常生活上の困難さや葛藤をどのように捉え、それらが配偶者の生活や人生に及ぼす影響を明らかにし、配偶者のニーズに即した効果的な援助構築のための知見を得ることである。 平成21年度は、山梨県と長野県内の精神科医療施設の許可および研究代表者所属機関倫理委員会の承認を得た後、平成20年度作成の面接ガイドを用いて面接調査を行った。これまで配偶者14名(夫11名、妻3名)に面接し内容分析を行っている。その結果、初期に病気の苦悩や病状を理解することの困難さ、服薬確認や受診同伴、再発防止のための日常生活での配慮などの多面的な治療への協力、子育て・家事・仕事の負担、病気に無関心ではないが一定の距離をとった病状変化の観察を通しての対応、夫婦であることの信頼関係を大事にしていること、といった配偶者の姿が明らかになった。現在、結果の一部を平成22年9月開催の16th International Network for Psychiatric and Nursing Research Conference (Oxford, UK)での発表に向けて準備中である。尚、当初目標とした対象者数20名に未だ達していないため、可能な限り目標数を確保するべく、平成22年4月~8月は再度承諾済みの精神科医療機関へ打診し面接調査を継続する予定である。
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