昨年度、長野県中信地域の在宅高齢者216名(75.5±6.0歳)を対象に、地域版二重課題歩行(平均歩行速度、平均一歩幅(左右)、歩行ケイデンス)、認知機能(認知症スクリーニング検査日本語版RDST-J)、注意配分機能(短縮版ストループテスト)、平衡機能(重心動揺および30秒片脚起立時間)、老研式活動能力指標等を測定した。その調査協力者216名を対象に、その後1年間の転倒回数、転倒に伴う外傷の有無、1年間の健康や体調の変化について、面接または電話インタビューを行った。面接または電話によって連絡がとれた者は195名(90.3%)で、2名が死亡、電話の不通が9名であった。地域版二重課題歩行の測定から1年間の転倒者は20名(10.3%)で、転倒回数別の内訳は、1回が14名、2回が4名、3回以上が2名であった。転倒に伴う骨折は0名であった。躓く・よろけるなどして「転びそうになった」と感じた回数は、0回の回答が85名(43.6%)、1~3回が69名(35.4%)、4~9回が19名(9.7%)、10回以上が17名(8.7%)いた。1回以上の転倒者を転倒群、0回を非転倒群として、年齢、地域版二重課題歩行、RDST-J得点、短縮版ストループテスト所要時間、重心動揺軌跡長および30秒片脚起立時間、老研式活動能力指標得点を、Mann-WhitneyのU検定で比較したが、いずれも有意な差は認められなかった。 この他、二重課題の普及啓発活動として、保健医療従事者の研修会等で、講演活動を行った。
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