本研究は日本の医療文化に則したM-ICM&IPS(集中包括型ケース・マネジメントと援助つき雇用プログラム)モデルの開発を目的とし、(1)再入院を行う精神障害者20名の再入院の要因及び支援の実態を明らかにしプロトコールの開発を行い、(2)プロトコールの評価を介入群と対照群で実施した。退院後3か月未満で再入院してきた患者に支援を提供する看護師20名に対し患者および支援内容について半構成的質問紙で面接調査を行った。その後、退院支援ケアパッケージとM-ICM&IPSモデルを作成し、退院後3ヶ月未満で再入院する患者17名を対象に介入を行い、再入院時、退院時、退院3ヶ月後に病状、日常生活・社会的機能、家族機能で評価を行い、対照群12名と比較した。看護師20名の平均年齢は34.0歳、平均経験年数11.7年、精神科看護の平均経験年数9.0年、男性11名、女性9名だった。看護師たちが語った精神障害者は、統合失調症で平均年齢40.9歳、CP換算1788.2、家族との同居が最も多かった。精神障害者の日常生活において、服薬・症状・火に関するセルフケアが最も低かった。精神状態においては、行動化が頻繁、認知力、判断力の低下が顕著だったが普段の行動、気分、外見などは問題なく安定していた。再入院の理由は、家族と患者間のお互いへの暴力が最も多く、ついで症状・服薬管理が困難なための病状悪化、ついで患者自身の仕事や友人に関するストレスへの対処行動の未熟さに伴う病状悪化だった。看護師の支援として最も多かったのは、患者の症状・服薬支援、ストレスへの対処行動の強化で、家族への支援、家族以外とすごせる時間や場の確保、就労に関する支援は最も少なかった。さらにこれらの結果をもとに退院支援ケアパッケージとCBCM&IPSモデルを作成し、研究に同意の得られた17名を対象に介入を行い、対照群12名と比較を行った。介入群は介入によって病状、日常生活機能、社会的機能が改善し、4名の対象者が仕事につけた。一方、対照群の病状、日常生活・社会的機能は改善せず入院継続もしくは退院後もすぐに再入院していた。また質的内容の分析においては介入群に対しては対象者の成長発達や健康的な側面を強化した支援が多く、対照群では治療目標がみえにくくなっていた。
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