研究課題
本研究の目的は、一般病院・診療所において、認知症以外の疾患・外傷等の治療・療養目的で入院する認知症患者とその家族に適切な看護を提供するためのプログラムを開発することである。平成20年度から22年度は、患者・家族および一般病院の病棟看護師に行った認知症看護の課題に関する質問紙調査の結果に基づき、認知症看護プログラムの骨格〔a.入院初期に認知症の行動・心理症状(BPSD)を予測し予防的看護介入を実施するためのものであること、b.ゆとりある看護の前提となるチームケアのあり方を具体的に示すこと〕を明らかにした。今年度は、一般病院・診療所における認知症看護プログラム(試行版)の最終検討を行い、次いで事例検討による認知症看護プログラム(試行版)の実行可能性の検討をすすめた。認知症看護プログラム(試行版)は、研究代表者・分担者に加え、認知症看護認定看護師、一般病院において認知症看護の実践・研究に取り組む看護師で検討した。最終的に、看護プログラムの目的は、認知症患者に生じやすいBPSDを入院時に予測し、予防的介入を実施するとし、アセスメント(入院時に収集する情報項目:認知症、日常生活、BPSDリスク因子、BPSD緩和因子に関する情報)と基本的看護ケア(コミュニケーション、環境調整、薬物管理、安楽の援助、家族援助)の方法を紙面に表した。次に、大分大学医学部倫理委員会での審査・承認を経た後、認知症看護プログラム(試行版)の実行可能性を検討するために、X県内にある一般病院の病棟において、過去に入院した認知症高齢者事例にプログラムを照らし合わせ、実行可能性を検討した。事例検討は、病棟の看護管理者および看護師2名との討議によりすすめた。その結果、認知症看護プログラム(試行版)は、病棟において活用が可能であることが確認された。
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