研究課題/領域番号 |
20592662
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 助教 (30336284)
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研究分担者 |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
甲斐 博美 大分大学, 医学部, 助教 (80443894)
浜口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
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キーワード | 耳のケア / 要介護高齢者 / 耳垢 / 施設高齢者 |
研究概要 |
本研究は、要介護高齢者へ3ヶ月間の耳のケア(外耳道の観察・耳垢除去)を実施し、その介入効果の検証を目的とし、これに基づき高齢者の耳のケアプログラムを検討する。本研究は、12週間を1クールとして2クール実施した。1クール目の対象選定は、施設で暮らす要介護高齢者のうち(1) 75歳以上(2) 要介護3以上(4) 聴力検査・面接調査可能(5) 現在耳疾患なし(6) 鼓膜・外耳道に異常なしとし、該当者は10人。この基準では純音聴力検査を4割が実施不可だったため、2クールでは上記の基準に(7) MMSE14点以上を加え、さらに対象数の確保のため(1)(2)を除いた条件に該当する要介護高齢者を19人選定した。介入前に聴力検査、コミュニケーション、MMSE、BI等を調査し、その後、耳のケアとして外耳道の観察を2週間毎に実施した。この観察時、耳垢により外耳道が完全閉鎖もしくは1/2閉鎖において、軟骨部外耳道内の耳垢を除去した。除去前後は聴力検査、除去後にはコミュニケーション能力を調査した。 ここでは2クール目の結果の一部を示す。分析対象は、19人のうち介入期間中の施設退所2人を除いた17人である。年齢82.8歳、女性10人58.8%、要介護2が10人58.8%、MMSE22.6点、BI57.7点。湿型耳垢8人47.1%乾型耳垢9人52.9%。耳垢により左右の外耳道が完全閉鎖もしくは1/2閉鎖の者が5人29.4%、そのうち左右とも完全閉鎖の者は1人5.9%。左右とも耳垢がない者は3人17.6%。聴力の分析対象は、本調査の機器で純音聴力検査が可能な耳に加え、信頼性を保っためMMSE21点以上に該当した19耳。12週間後の気導骨導差[四分法]は介入前と比べ、閾値が有意に低下した(前5.2>後2.0dB t=3.82 P=0、001)。耳垢除去を実施し聴力検査を行った9耳の気導骨導差[四分法]は、直前に比べ直後の閾値が有意に低下した(前5.8>後2.8dB,t=4.43 P=0.002)。この結果より、1/2閉鎖以上の耳垢除去は聴力改善の効果が示唆された。現在、介入前後のコミュニケーション、生活上の変化および性状別の耳のケア効果について分析中である。
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