近年ペインクリニックにおいて高齢患者が増加し、特に急性帯状疱疹(Herpes Zoster:以下HZ)、帯状疱疹後神経痛(Post Herpetic Neuralgia:以下PHN)患者が増加傾向にある。HZは高齢になるほど罹患率が高く、治療後も60歳以上では難治性PHNに移行しやすく、経験した者でなければ理解できないほどの苦痛とQOLの低下が起こる。本研究の目的は、超高齢社会を迎えた日本において今後更に増加が懸念される帯状疱疹後神経痛の予防行動の普及啓発活動と高齢者の慢性疼痛によるうつ傾向や気力の低下等を予防するために、1)急性帯状疱疹痛及び難治性のPHNを抱えた高齢者の痛みの実態とその生活への経時的な変化、2)HZ、及びPHNに対する治療経過と慢性疼痛の関連を明らかにすることを目的とする。さらに、地域における帯状疱疹およびPHNを抱えた在宅高齢者への看護介入の方法を検討するための基礎資料を作成することである。研究者が所属する機関での研究倫理委員会において承認を受けた後、調査を開始した。平成20年12月〜平成21年3月までに協力を得られた麻酔科外来を有する施設を受診し、帯状疱疹発症後3ヶ月以内で、65歳以上の認知症のない高齢者4名から研究参加の同意を得られた。方法として、初回面談時に、基本属性、帯状疱疹発症年月、受診までの経過、部位別の痛みの程度はVAS(0〜10)、Short Form36、日常生活動作効力感尺度、Nottingham Adjustment Scale Japanese version(NAS-J)、Coping Strategy Questionnaire(CSQ)を用いた質問紙調査を実施。さらに半構成的面接法を用いインタビューを行い、同意を得た上でテープ録音し、逐語録を作成し、質的に分析中である。今後さらに6ヵ月後、2ヶ月後、8ヵ月後の計4回、面接調査を縦断的に繰り返し、カテゴリ化をすすめ、データの妥当性を高めるとともに、対象者を増やし、データ収集、量的データに関しても分析をすすめていく予定である。
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