本研究は、近い将来、強度の地震発生が予測されている宮城県において、在宅療養支援機関の災害対策の整備状況と取り組みの実態を把握し、現状と課題を明らかにすることで、他機関連携による防災支援システムの開発を検討することを目的としている。 本年度ほ、前年度に予備調査として行った訪問看護ステーションの管理者へのインタビュー調査を分析し、災害対策の現状と課題について、第13回日本在宅ケア学会で発表した。 また、予備調査での分析結果をもとに、インタビューガイドの見直しを行い、地域包括支援センターに所属する保健師・主任介護支援専門員、居宅介護支援事業所の管理者・介護支援専門員、計19名にインタビュー調査を行った。インタビューの結果、自治体直営の地域包括支援センターでは、地震発生時、介護支援専門員を通して情報把握が比較的にスムーズに行われたという現状があった。一方で、委託の地域包括支援センターでは、災害発生時の役割としてどのようなことを担うか検討段階であり、関係職種間で、明確な連絡体制の確認に至っていないことが把握された。防災に関する日頃からの取組みについては、どの立場にある調査対象者においても、医療依存度の高い療養者と関わっている場合は、利用者・家族への緊急時対応の指導・確認の機会はあるものの、それ以外の利用者に対しては、ほとんど意識的な対応はとられていなかった。他機関との情報共有の機会もほとんどなく、必要性を認識していても、個人情報の取り扱いに障壁を感じている等の現状があった。 今後、データの分析を更に進め、次年度の質問紙調査の調査内容に反映する。
|