本研究の目的は、精神障害者家族会に参加する若年層の統合失調症患者の親にとっての家族会の意味を明らかにするとともに、日本の家族会の将来のあり方を検討することである。 一つの家族会の了解を得て家族会活動に参加観察するとともに、17家族17名にインタビューを行った。分析の結果、『時代を読み世代交代しながら変化する家族会』、『家族自身の社会資源としての家族会』、『精神障害者家族としての人生に意味を見いだす場としての家族会』という3つのテーマが抽出された。若年層の統合失調症患者においては、短期入院、あるいは入院することなく外来で治療ができるようになった。しかし、社会資源の乏しい状況の中、これまでと同様に、退院後のアフターケアは全て家族が担い、患者は家の中にひきこもって孤立している状況が見られた。急性期の症状の激しさ、病識の乏しいわが子を診療に導くことや内服を継続させることの困難さは継続し、介護者である親の負担はこれまで以上に大きい現状であり、家族への支援が急務である。そのような中で、精神障害者家族会は家族を支援する重要な社会資源であるが、家族会入会には、家族が子どもの精神障害を受容することが必要であり、その敷居は非常に高い。これが、家族会への入会者を乏しくさせている理由の一つであり、新しい家族からの入会を待つだけでなく、家族会の方から手を差し伸べる重要性が示された。この成果は、東京女子医科大学大学院看護学研究科の博士論文としてまとめた。また、家族会の歴史的な変遷については、今年度学会誌に投稿している。来年度は研究成果を学会にて報告するとともに、学会誌に投稿する予定である。
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