平成21年度は、在宅認知症高齢者とその家族の現状とニードを把握するため、在宅認知症高齢者を介護している家族13名(同居家族9名、別居家族4名)へインタビューを実施した。平成22年度は、このインタビュー結果を詳細に分析し、介護の困難さ、介護の継続要因、介護の工夫に関するカテゴリーを抽出した。「介護の困難さ」では、時間的制約、将来に対する不安、自尊心の揺らぎなど6カテゴリー、「介護の継続要因」では、在宅ケアシステムによるサポート、被介護者のできる能力を認める、介護をして得られる満足感、など9カテゴリー、「介護の工夫」では、認知症や認知症症状に合わせた対応、被介護者の思いを尊重した対応、上手く手抜きする、など12カテゴリーが抽出された。次に家族が抱いている介護保険への思いと求めている支援について検討した結果、介護保険サービスの満足として、「認知症高齢者に適切な対応をしてくれる」「被介護者にサービスを受けたことの効果がみえる」などの7カテゴリー、不満として「職員に要望が伝わらないことのストレス」「サービスを利用しても介護負担は変わらない」などの8カテゴリーが抽出された。求めている支援としては、「認知症高齢者を理解したサービス提供」「介護者へのサポートシステム」「緊急時の対応システム」「認知症高齢者に特化した新たなサービスの創設」などの7カテゴリーが抽出された。また、支援システムの構築の一手段として検討しているTelecommunicationを用いた認知症患者の介護者支援に関し、海外文献のレビューを行った。 本研究は平成22年度で終了予定であったが、東日本大震災のため予定した学会発表が行えず、平成23年度に旅費を繰り越した。平成23年度は、27^<th> International Conference of Alzheimer's Disease Internationalにおいて2題の学会発表を行った。
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