研究課題/領域番号 |
20592679
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
植本 雅治 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (90176644)
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研究分担者 |
川口 貞親 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (00295776)
松葉 祥一 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00295768)
三浦 藍 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (10438252)
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キーワード | 在日ベトナム人 / 薬物依存症 / 精神科看護 / ヘロイン |
研究概要 |
1. ベトナム人ヘロイン依存症者受け入れ病院看護師への調査結果分析(その2) 11名へのインタビュー結果の分析を進め、ベトナム人患者とのかかわりの中で、言葉や習慣の壁から放任せざるを得ない無力感や不全感、ベトナム人への不信やいら立ちなどネガティブなイメージを抱きがちな看護師は、退院した後のベトナム人依存症者がどのように生活しているのか、来日以来の苦労、頑張りなどを伝え聞くことで見方を変えていた。対象の背景理解が対象への看護の質を高め、自らのストレスをも緩和することが分かった。 2. 在日ベトナム人ヘロイン依存症者への調査 現在は回復している在日ベトナム人薬物依存症者計3名にインタビューし、回復するには交友関係の整理と家族の支えが不可欠であることが分かった。入院生活に対してはおおむね不満なく、よく看てもらっているという感謝の言葉が中心であり、看護者のネガティブな感情を感知する声はなかった。隔離中の適度な放任を望む声があり、看護師のやむを得ず放任している状況は肯定された。 3. ベトナム国での依存症治療の現場視察 ベトナムの公的な薬物依存症治療回復施設を3カ所視察し、改めて薬物依存症は犯罪以前に病気であると捉えられていると感じた。しかし病院では基本的に薬物依存症の治療を行わず施設に送られるが、入所はほとんどが強制的であり、医療関係者はきわめて少ない。結局は治療というより矯正教育と労役中心の服役と大差ないようだ。とはいえ、入所期間を延長して再発を食い止める、あるいはメサドン維持療法を導入するなど、国際機関からの支援によって国を挙げて積極的に改革を進めていることが分かった。
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