高齢者を対象としたフットケアへの関心は高まっているが、そのエビデンスは確立されていない。中でも、認知症がある高齢者の多くは、歩く力や立つ力が残っているにも関わらず言語的な意思疎通が困難であることから、予測困難な転倒事故の防止にケアの視点が置かれ、窮屈な靴を履いたまま、長時間座位で過ごすことを余儀なくされている。さらに、認知症高齢者は、自ら足のケアができず、足を動かすことさえままならない状況下にあり、苦痛の表現ができないために足のトラブルを多く抱えている。そのため、立位・歩行時のバランスが取り難く、歩行力の低下を招いているケースは多い。認知症高齢者にとって、歩く力が残っていることは、自分らしく、自分の望む生活を送ることにつながると考えられ、フットケアは、その生きる力を支え、転倒しにくい足作りにも大いに役立つ。 そこで、本研究では、以下の(1)~(6)に関する調査結果を通して、施設で暮らす認知症高齢者を対象としたフットケアを効果的に実践できるフットケアアセスメント指標および介入プログラムを作成し、フットケアのエビデンスの確立、認知症高齢者の生きる力を支援できるフットケアプログラムの開発を目的とする。 (1)介護保険施設入所中の認知症高齢者の足・足趾の実態把握 (2)介護保険施設入所中の認知症高齢者のケア状況別の足趾間湿度の把握 (3)ケア提供者の認知症高齢者のフットケアに関する意識とケアニーズ、ケアの現状の把握 (4)介護保険施設入所中の認知症高齢者へのフットケアに関する課題の抽出 (5)介護保険施設にて実践可能な足のアセスメント指標の開発 (6)介護保険施設にて実践可能なフットケアプログラムの作成
|