研究概要 |
平成20年度は認知症患者の募集を行なうために5施設に入所中の認知症患者を乱数表を用いて各施設毎に2群に分けた。A群は介入群、B群は非介入群とした。認知症患者は3ヶ月間定常状態で、精神行動異常を伴わず、特定の急性期(癌も含めて)を有しない患者である。認知症患者でも重度のMMSE7点以下、寝たきりなどの患者さんは対象外とした。従って、介護に従順に従い自力で食事、トイレができる男女を対象とした。A群の介入群に本人と家族に了解を得るため、十分説明した。介入群の非介入群も施設で行うリハビリテーション、レクリエーション、行事等は従来通り行い、通常の生活を行っている。 認知症感動療法は5〜10人の少人数グループが1教室で、週1回、1日1〜1.5時間実施している。感動療法の内容はテーマ性を重んじた言葉で楽しむ方法で、患者の立場に応じた患者の感性に訴え、感動を生むようにしかける方法である。退職された教員を募集し感動療法の教師役として現在行っている。テーマは「特攻隊」にまつわるエピソードを本より提示。また、「おらの一生貧乏と辛抱」など図書館から書簡を借用して、その一説を朗読して聞かせる。平家物語の一説から「平教盛の最後」を唱歌「青葉の笛」に連動させて読む。ビデオも使用し「東京大空襲」のビデオを見て皆で話し合う等である。 測定検査はMMSE、ADL(Barthal Index),Geriatric Depression Scale(GDS)を3ヶ月ごとに検査し、認知機能と一般状態の推移を介入群、非介入群ともに測定。6ヶ月間の認知症感動療法で認知機能(MMSE)は有意に上昇した。これに対して非介入群では有意に低下した。
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