1.小規模多機能ケアを実施している事業所を対象にケア記録の活用に関する現状を把握し、課題を考察することを目的として実態調査を行った。2008年9月〜12月に郵送法で質問紙調査を行い、77法人を分析対象とした。その結果、記録を一定期間分まとめて分析しているのは80%以下、記録を集計して分析しているのは30%以下、ケアプランの評価と修正に活用している割合も50%弱から70%弱と低率であった。また、通所介護と訪問介護の両方の記録の活用は約50%しかなかった。活用の課題と記録を分析していない理由のいずれにも時間の問題が示されていた。ケア記録をパソコンに入力しているのは手書きとの併用を含めても20%以下と低率であったが、パソコンへの入力意向があるのは50%前後もあった。以上の結果から、ケア記録の有効活用のために、簡易で効率的なデータ入力や分析ツールを利用するためにITの導入を検討する必要性が示唆され、本研究の取り組みの意義が確認できた。 2.本研究対象施設におけるデイサービス事業について、検討会議を重ね、スタッフがケア記録を入力・検索できるデータベースシステム(以下、システム)を構築した。次年度からのシステム運用に向け運用テストを実施した。次年度からは、システムに蓄積されるケア情報のうち記述情報を中心に分析する計画である。
|