研究概要 |
免疫寛容の成立維持に必須の細胞であるFoxp3+CD4+CD25+制御性T細胞(Treg)がどのような機序で免疫反応を制御しているかについては十分に解明されていない。申請者はTregの機能解析を進めることで、新たな腫瘍免疫療法の開発につなげることを目的としている。これまでのマウスを中心とした解析で、Tregが樹状細胞を負にコントロールすることが、免疫制御の重要な機序のひとつであることを示した。本研究では同種造血幹細胞移植における使用頻度が増加している臍帯血を用いてT細胞や樹状細胞の機能解析を行った。臍帯血由来単球からGM-CSFとIL-4を用いて分化させた樹状細胞と、臍帯血由来T細胞を抗CD3抗体存在下で反応させた。反応後の樹状細胞におけるmicroRNA発現を定量PCR法で測定したところ、免疫反応に関係すると報告されているmiR16, miR132, miR146a, miR146b, miR150, miR155の発現がすべて増加した。樹状細胞をLPSで刺激した際にも48時間後にこれらのmicroRNAの発現が増加した。樹状細胞のCD86発現を抑制する可能性があるmicroRNAとして選定したlet7-g-2に関してもT細胞との反応後に発現が増加した。T細胞と樹状細胞の反応後に増加するmicroRNAが免疫反応のnegative feedbackとして機能する可能性を検討中である。さらにTregによる免疫抑制の機能分子として重要なCTLA-4が樹状細胞に与える作用の解析を進める予定である。
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