研究概要 |
Foxp3^+CD4^+CD25^+制御性T細胞(Treg)が免疫寛容を成立させるうえで、Treg上のCTLA-4の発現が必須であることがマウスの解析から明らかとなっている。Tregは種々の免疫担当細胞を抑制する機能を有するが、樹状細胞に対する抑制が特に重要と考えられる。CTLA-4はCD80,CD86を介して樹状細胞の機能を修飾すると考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。本研究では、非血縁者間臍帯血移植の改良を想定し、臍帯血由来のTregや樹状細胞を用いた。臍帯血より磁気ビーズで分離したCD4^+CD25^+ Tregを抗CD3抗体と抗CD28抗体を結合したビーズを用いて増殖させ、Foxp3が陽性であることを確認した。また、臍帯血のCD14^+単球をMACSにより分離し、GM-CSF+IL-4を用いて単球由来樹状細胞(MoDC)を調整した。TregとMoDCを共培養することでCD86の発現が抑制されることを確認した。次に、Tregの代わりにCTLA-4-Igを用いてMoDCを刺激し、FoxO3aなどの転写因子の発現を確認した。また、FoxO3aのリン酸化の状態がどのように修飾されるかについて解析を継続している。さらに、LPS、Alum等を用いて炎症を惹起させた際に、CTLA-4による抑制刺激が樹状細胞内でどのように変化するか解析中である。樹状細胞を負にコントロールする分子を同定し、これをsiRNAによりノックダウンすることで免疫反応を増強することができれば、新たな免疫療法の開発につながると考えられる。
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