研究課題
本研究では、ヒト第三大臼歯歯胚由来のクローン細胞を用いて器官原基法を応用し、歯組織の部分再生として歯根尖部の再生技術の開発を推進する。はじめに、歯根吸収歯および歯根端切除術後の短根歯のモデル動物を作製に取り組んだ。マウスのM1を抜歯しダイヤモンドポイントを用いて根尖部を削除して顎骨を自然治癒させる。この動物モデルは歯根吸収症例を模倣する動物モデルと考えられた。ヒト細胞へ移行する前に、C57BLマウスの細胞によって歯根尖再生実験を行った。E14.5のマウスより歯胚を摘出し、酵素処理にて上皮組織と間葉組織を分離する。それぞれの組織をコラゲナーゼによって単一化細胞にし、器官原基法によって再構成歯胚を作製。その後、器官培養にて、人工的な歯胚を発生させると、人工的な歯胚が発生することが明らかとなった。発生した歯胚は顕微鏡にて観察して写真撮影を行った。さらに組織切片を作製してヘマトキシリンエオジン染色によって組織構造を解析したところ正常歯胚とほぼ同等の歯胚が発生していることが判明した。歯胚の歯根部を外科的に分離し再生根尖を作製した。根尖部を削除した歯根吸収歯および歯根端切除歯の動物モデルマウスの抜歯窩を金属のドリルで切削したのち、再生する根尖部に相当する部位に器官原基法によって作製した再生根尖を移植した。移植30日後に再生根尖を移植した歯を摘出し、組織標本を作製した。ヘマトキシリンエオジン染色によって、生着の組織像を解析したところ、生着が不十分であることが判明した。今後はハイドロキシアパタイトの多孔体をもちいた人工歯根の作製も検討する予定である。
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歯界展望 115
ページ: 9-16
Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America 106
ページ: 13475-13480