本研究では、ヒト第三大臼歯歯胚由来のクローン細胞を用いて器官原基法を応用し、歯組織の部分再生として歯根尖部の再生技術の開発を推進する。 22年度は、ヒト細胞へ移行する前に、C57BLマウスの細胞によって再生歯胚の作製に着手した。E14.5の歯胚間葉細胞と歯胚上皮細胞を高密度に区画化し、器官原基法によって再生歯胚を作製して、その歯根部を採取して再生歯根の作製を推進した。 まず、再生歯根移植技術の安定化のために、移植する再生歯根の大きさの均一化が必要であると考えられた。そこで、大きさを均一化した再生歯胚の作製技術の開発に取り組んだ。まず、ハミルトンシリンジを用いて歯胚間葉細胞と歯胚上皮細胞を用いてコラーゲンゲル内に等量の細胞塊を作製する手技を安定化する。つぎに、等量の歯胚間葉細胞塊と歯胚上皮細胞塊を再構築して大きさを均一化した再生歯胚の作製を行った。そして、再生歯胚の器官培養像の長径と幅径を計測して大きさの均一化を解析した。その結果、長径と幅径が均一な再生歯胚の作製が可能となった。 器官原基法によって作製した大きさを均一化した再生歯胚を腎皮膜移植によって、歯として発生させて、マイクロCTによってその形態を解析した。その結果、咬頭形成の見られた再生歯が発生し、歯根の形成も確認された。 また、器官原基法にて作製した大きさを均一化した再生歯胚を外科的に歯根部のみ切断し、腎皮膜移植した。 このように、本申請研究は、歯科矯正治療によって併発する歯根吸収に対する治療法を開発し、歯科矯正臨床の発展に寄与することを目標としており、本研究の意義は極めて高いと考えられる。
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