1. 妊娠初期子宮筋-脱落膜-胎盤組織の切片の免疫組織にて、脱落膜にスフィンゴシンキナーゼ(SphK)の局在を認めた。 2. 正常妊娠初期に人工妊娠中絶を施行した患者からのインフォームドコンセント得た上で採取した絨毛検体を細切し初代EVT培養を行い、RNAを回収し、リアルタイムPCR法にて、優位なS1P受容体のサブタイプを同定した。 3. 1. で用いた絨毛培養において、S1P刺激にて24時間後のoutgrowthが増強しており、この反応は、GPCRのブロッカーである百日咳毒素にて抑制された。 4. EVT細胞株HTR-8/SVneo細胞を用いて、S1Pをchemoattractantとして刺激したところ、遊走能、浸潤能の亢進を認めた。 5. EVT細胞株HTR-8/SVneo細胞をS1P刺激下に96穴プレートに培養し、MTS assayにて検討したところ、増殖能にはとくに変化を認めなかった。 6. 正常妊娠初期に人工妊娠中絶を施行した愚者からのインフォームドコンセント得た上で採取した脱落膜の細胞培養を施行し、低酸素培養下でSphKの発現が亢進していた。この発見は正常妊娠初期の胎盤形成期の低酸素環境での絨毛浸潤に脱落膜でのSphK発現が増加が関与していることを意味する重要な発見として、日本胎盤学会にて報告した。なお、脱落膜細胞は、プロゲステロン投与による脱落膜化促進されるとSphKの発現が亢進していた。
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