研究課題/領域番号 |
20599009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 友亮 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20506307)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
横田 貴史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60403200)
前田 哲生 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00403064)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 / AML1 |
研究概要 |
本研究は、AML1点突然変異がMDS/AML (MDSと、MDSから病型移行したAML)を引き起こすメカニズムを明らかにすることを目的としている。 これまでの研究結果からAML1変異体導入細胞は、紫外線やガンマ線等によるDNA損傷に対する修復能が低下していることがわかった。そこで、AML1変異体による、DNA損傷修復経路にかかわる分子の遺伝子発現変化をPCRアレイ法によって網羅的に解析した。その結果、AML1dC (AML1のC端欠失変異体)導入32D細胞ではDNAストレス応答分子であるGadd45aの発現が対照細胞と比較して低下していることが分かった。マウス造血幹/前駆細胞(LSK細胞)ヘレトロウイルスによってAML1dCを導入すると、Gadd45aの発現量がMock導入LSK細胞と比較して約1/2まで低下することが分かった。また、AML1のN端側の点変異を含むD171N変異体をLSK細胞へ導入しても、Gadd45aの発現は同様に低下した。AML1dC導入LSK細胞では、32D-AML1dCと同様に紫外線やガンマ線などによるDNA損傷に対する修復能が低下していることがわかった。AML1によるGadd45aの調節機構の解析から、AML1は、Gadd45aのイントロン3に直接結合することによって、Gadd45aの発現を転写レベルで調節していることがわかった。このイントロン3はGadd45aの調節を担う主たる分子であるp53が結合する部位を含んでいる。レポーターアッセイの結果、AML1とp53がGadd45aの転写を協調的に活性化することが分かった。 Gadd45 aはDNA損傷修復にかかわる分子であることから、AML1変異体はGadd45aの発現を抑制することによって、白血病発症へと導く付加的遺伝子変異を惹起する可能性が考えられた。この内容について現在論文投稿を行い、改訂中である。
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