研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20240905)
大村谷 昌樹 熊本大学, 大学院・先導機構, 特任教授 (60398229)
田中 洋 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70452901)
尾崎 宣之 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40551255)
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研究概要 |
我々は急性膵炎時の膵腺房細胞においてオートファジーが過剰に誘導されることを報告した(Ohmuraya, M., et al.Gastroenterology 129 : 696-705, 2005. Ohmuraya, M., et al.Pancreas 33 : 104-6, 2006.)。また臓器特異的オートファジー欠損マウスを作成し解析した結果、膵腺房細胞内でトリプシノーゲンが活性化されるには、オートファジーの機構が必要であるということを示した(Hashimoto, D., et al.J.Cell Biol.181 : 1065-1072, 2008)。おなじくマウスを用いたセルレイン(コレシストキニンアナログ)投与による急性膵炎実験において、オートファジーは栄養条件に影響されず腺房細胞内に誘導されることが示された。この実験系においてセルレイン投与時のオートファジー誘導にかかわる制御機構の解析を進めている(論文作成中)。またこれまでの解析に用いた手法を用いて、急性膵炎時に十分量のプロテアーゼを投与すると、膵腺胞細胞内でのトリプシノーゲンの異常活性化を抑制し、腺胞細胞の自己崩壊を防ぐことを示した(Hashimoto, D., et al.Pancreas 38 : 595-597, 2009, Surg Frontier 16 : 114-119, 2009)。つまりプロテアーゼインヒビターが臨床上も有用である可能性を示した。 これまでの研究結果およびオートファジーの解析についての技術を用いて、膵癌細胞株におけるオートファジーの誘導について解析した。膵癌細胞株に抗癌剤(SN-38、5-FU、CDDP)を投与すると、オートファジーが誘導された。またsiRNAを用いてオートファジーを抑制すると、抗癌剤の殺細胞効果が増強された。つまり、癌細胞がオートファジーを通じて抗癌剤というストレスに適応し細胞内の恒常性を維持しようとしている可能性が示唆された(論文投稿準備中)。
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