研究分担者 |
大山 秀樹 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90280685)
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50150339)
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00217712)
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00434944)
|
研究概要 |
IL-35はIL-23およびIL-12のサイトカインファミリーの一つであり,その産生細胞はT細胞および抗原提示細胞であることが明らかにされている。本年度は,歯周病病態におけるIL-35の関与を調べることを目的とした研究の一環として,歯周病患者の病巣局所に集積するT細胞と末梢血T細胞との間でIL-35の産生性の違いを調べた。倫理委員会承認の方法によって同意を得た歯周病患者から,病巣部歯肉と末梢血を採取し,それぞれに含まれる単核球を分離し,抗CD3抗体および抗CD28抗体を結合させたビーズを用いてCD3^+T細胞の活性を誘導した。48時間後のIL-35遺伝子発現量をリアルタイムRT-PCR法を用いて定量解析した。なお,IL-35分子はEpstein-Barr virus-induced gene 3(EBI3)とIL-12p35の2量体からなるため,EBI3とIL12Aのそれぞれの遺伝子について調べた。その結果,末梢血から採取したT細胞を活性化させた場合,EBI3発現量は約4倍に増加するのに対して,IL12A発現量は約1/10^6に減少した。一方,歯肉から採取したT細胞を活性化させた場合,EBI3発現量の増加はわずかであり,またIL12Aについても末梢血由来T細胞と異なり,その発現量が減少する傾向は見られなかった。Th1タイプのサイトカインであるIFN-γ遺伝子については,同刺激による遺伝子発現の上昇が,歯肉および末梢血から採取したT細胞のそれぞれにおいて大差なく観察されたことから,歯周病局所に集積するT細胞のIL-35産生様態は末梢血由来T細胞のそれと異なる結果が示された。以上の結果から,歯周病の病巣局所に集積するT細胞の活性化に伴って産生されるIL-35は,歯周病の病態に関わる可能性が示唆された。
|