研究概要 |
当初の研究計画では、第一に神経ガス結合セリン残基に特異的なモノクローナル抗体を作製する目的で、各種アルキルホスホニルセリンを合成し、各種セリンエステラーゼ類のアミノ酸配列の相同性を勘案し、これを含む10残基程度の合成アミノ酸を作成する計画であった。本年はリン酸骨格部分の合成のうち、第一段階目の反応が終了したものの、第二段階貝の反応がうまく進行せず、現在、条件を種々再検討して実験を継続している。 一方、第二の計画である有機リン結合ペプチドのショットガンプロテオミクス的手法を用いた検出法の開発に関しては、モデル酵素を用いた検討で、LC-MS/MS(ニュートラルロス分析)を用いた有機リン結合ペプチド特異的な検出法が確立されたが、実際の未知タンパク質の分析に近い状態の混合タンパク質資料を分析した場合、夾雑する多量の有機リン非結合ペプチドにより特異的検出が困難になることが分かった。これは、FTモード、ITモードどちらの分析方法でも同様であり、原因としては、夾雑タンパク質のペプチド断片の強度が強いため、第一段階(MS1分析)、第二段階(MS2分析)でこれらの夾雑ペプチドが優先的に検出され、強度の低い有機リン結合ペプチドが最初の段階から検出されていないためであることが判明した。そこで、有機リン結合ペプチドをあらかじめ精製・濃縮をおこなっておく必要があると考え、リン酸化ペプチドの精製に有効と考えられているTiO2,ZrO2担体を用いた精製・濃縮法を検討し、特異的な精製をおこなった。
|