本研究は、「高大連携」の期待と現実のズレに注目し、日本における高大連携の実態を把握し、「高大連携」を促進する要因と阻害する要因を明らかにすることを目的としている。さらに、組織間関係論及び組織行動論の視点から「高大連携」活動の特徴と構造をあきらかにし、高大連携における協働モデルの構築、高大連携を有効に機能させるため環境条件、組織・運営や人材育成のあり方について示唆を得るにとを目的としている。 今年度は、高大連携の先進事例として4大学の事例(国内3、米国1)について聞き取り調査を実施し、分析を行った。4大学はいずれも大規模研究大学である。4大学が高大連携に取り組むきっかけとなった要因は異なっていたが、どの大学も高大連携の意義と目的をいちはやく理解し、適切な実施体制を確立し、先進的な活動を展開している。この4事例について、米国の高大連携に関して、最も影響力のある著作として知られているシロトニックとグッドラッドの『学校と大学のパートナーシップ-理論と実践-』(1988)で挙げられている10の教訓を手がかりに、考察を行った。
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