本研究は、理工系大学・学部に女子学生が少ない要因について、大学の構造に焦点をあてて探るものである。具体的には、1)日本の理工系大学・学部における女子学生比率の実態はどうなっているのか、2)女子学生比率が高い理工系大学・学部はどのような特徴をもっているのか、を明らかにし、理工系大学・学部で女子学生を増やすために必要な大学側の共通要素を抽出し、個別大学で実践可能な方法を提案予定である。 今年度は、昨年度実施した調査の修正(大学入試形態の統一)をおこなった。さらに、当初の研究計画通り、学生に占める女性比率が30%以上の理工系大学・学部(65)を対象として、大学・学部の構造的特徴を調べた。おもな調査項目は、a)大学教員数、b)設置年、c)大学入試方法・日程、d)大学入試科目、e)大学入学定員、f)難易度(偏差値)、g)合格者数・合格倍率、h)大学入学金・授業料である。 男女共同参画基計画(第2次)において、国は、2020年までに「社会のあらゆる分野において、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度となるよう期待」しており、第3期科学技術基本計画では、自然科学系全体の女性の採用割合として30%を目安としている。しかしながら、その予備軍である当該分野を専攻する女性の学生比率が30%を超えるのは全国の65大学・学部にとどまっており、そのうち、女性教員比率が30%を超える学部は1割に満たず、それらの学部を有する大学の女性教員比率が30%を超えるのは4大学にすぎなかった。他の項目もふくめ、今後さらに分析を進める。
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