研究課題/領域番号 |
20600006
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00407230)
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キーワード | 産学連携 / ネットワーク分析 / 追加性 / 知的財産 / 知識移転 |
研究概要 |
平成23年度は、科学技術振興機構(JST)の協力を得て、CREST補助金を受給した研究者が、共著ネットワークや論文著作のパフォーマンスをどのように変化させたのかの分析を行った。その結果、研究代表者に関してはCREST受給の前後において、論文数や共著者数に有意な差は見られないが、研究分担者に関してCREST受給後に共著者数が有意に増加しているという結果が得られた。総合的に考えると、フラクショナル・カウントが増えなくとも共著者数が増えれば単純カウントもある程度増えるものと考えられる。上記の結果から考えると、研究代表者はもともと高いパフォーマンスや広い人的ネットワークを有するエスタブリッシュした研究者が多く、そのような実績が結果としてCRESTの獲得につながっているものと推定される。一方、研究分担者は一般的には研究代表者よりも若手の研究者が多く、CREST受給によって研究者間のネットワークが拡大しているものと考えられる。これらの意味から考えると、補助金の成果を評価する際には、論文の生産性など直接的な指標よりも。研究者ネットワークの拡大効果などにより注目するべきであると考えられる。今回の分析では主としてデータの制約から、これ以上の深いネットワーク分析等を実施することはできなかった。それらの分析の前提としては、分析対象の研究者(研究代表者や研究分担者)以外の共著者や、共著者の共著者、などについて広範囲な名寄せと機関帰属履歴データの作成が必須であるためである。今後、「政策のための科学」などの関連事業として、そのようなデータ基盤が整備されていくことが望ましいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特許の共同出願ネットワークに加えて、論文の共著ネットワークの分析についても一定の成果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究計画の最終年度であり、これまでに得られた成果を取りまとめると共に、本研究の成果として得られた発明者及び論文著者の名寄せの方法論および名寄せデータについて、さらなる活用を模索する予定である。昨年度から開始された文部科学省による「政策のための科学」の様々なプロジェクトにおいて活用されることが期待される。
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