本研究の主な目的は、大学や民間等との共同研究や、特許等の定量的データを用いて、研究者個人間に形成されるネットワークの変化(ネットワーク追加性)に関する質的・量的な評価指標を開発することである。本研究では、先に整備した特許統計データに加えて、論文の共著者データや、文部科学省が集計している大学の「民間等との共同研究」等の産学官連携に関するデータを利用し、 (1)大学との産学連携に関して積極的な機関(企業)とその時系列変化を同定し (2)共同発明のデータを元に実際に産学連携に積極的に関わった研究者を特定し (3)それらの研究者が産学連携の前後において研究者間ネットワークをどのように変化させたのかを分析する これにより、諸政策・制度による産学連携の振興がどのような効果を及ぼしているのかを具体的に実証することが可能となり、科学技術政策やイノベーション振興政策の評価におけるミッシング・リンクの一つである、アカデミック・セクターから民間セクターへの知識移転の実態が明らかになるものと期待される。
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