研究概要 |
1.慢性ストレス後の痛覚過敏における下行性疼痛調節系からの入力の影響 ラットに強制水泳ストレスを繰り返し負荷することにより、ホルマリン注射後の疼痛反応が増強することを確認した。一方、von Frey、plantar testでは、ストレス負荷前とストレス負荷後の測定値の間に有意差は認められなかった。次いで、イボテン酸を吻側延髄腹内側部(RVM)に脳内微量投与し、RVMの神経細胞を破壊した。これらイボテン酸投与群では、強制水泳ストレス負荷によるホルマリン注射後の疼痛反応の増強は認められなかった。これらデータは、慢性ストレス後の痛覚過敏に下行性疼痛調節系からの入力が関与していることを示唆するものであり、平成21年7月の第36回国際生理学会で発表予定である。 2.慢性ストレス後の下行性疼痛調節系における組織構築の変化 慢性拘束ストレス負荷後、吻側延髄腹内側部(RVM)を摘出しWestern blotを行った。細胞骨格タンパク質(neurofilaments [NFL,NFM,NFH])がコントロール群と比較して変化しているというデータが得られており、症例を追加し発表予定である。 3,ストレス負荷後の青斑核(LC)におけるリン酸化ERKの発現 ラットに拘束ストレスを加え、脳を摘出、抗p-ERK抗体を用い免疫組織染色を行った。拘束ストレス後LCにおいてp-ERK陽性細胞の有意な増加が認められ、LCにおけるERKリン酸化は刺激後短時聞であるというデータが得られた。これら結果はThe 38th Annual Meeting of the Society for Neuroscience(2008)において発表し、論文としてまとめ投稿し、研究成果1 (Imbe et al. Brain Res. 1263 (2009) 50-57)を得た。
|