研究概要 |
1. 慢性ストレス後の痛覚過敏における下行性疼痛調節系からの入力の影響 ラットにsham水泳ストレス、強制水泳ストレスを繰り返し負荷することにより、ホルマリン注射後の疼痛反応が増強することを確認した。一方、von Frey、plantar testでは、ストレス負荷前とストレス負荷後の測定値の間に有意差は認められなかった。次いで、イボテン酸を吻側延髄腹内側部(RW)に脳内微量投与し、RVMの神経細胞を破壊した。これらイボテン酸投与群では、強制水泳ストレス負荷によるホルマリン注射後の疼痛反応の増強は認められなかった。一方、RVMの破壊はshamストレス負荷によるホルマリン注射後の疼痛反応の増強に影響を及ぼさなかった。これらデータは、慢性ストレス後の痛覚過敏に下行性疼痛調節系からの入力が関与していることを示唆するものである。第31回日本疼痛学会、第36回国際生理学会で発表し、論文としてまとめ投稿した。近く論文掲載予定である。 2. Rat Tph2遺伝子断片を含むshRNAプラスミドをエレクトロポレーション法を用いてラットの吻側延髄腹内側部(RVM)の神経細胞に遺伝子導入を試みた。現在、電気刺激強度など条件を検討中である。 3. 慢性ストレス後の下行性疼痛調節系における組織構築の変化 慢性拘束ストレス負荷後、吻側延髄腹内側部(RVM)を摘出しWestern blotを行った。慢性拘束ストレス群では吻側延髄腹内側部においてGAP43蛋白質分解フラグメントが増加する。という結果が得られた。細胞骨格タンパク質(neurofilaments[NFL,NFM,NFH])のデータを含めて、学会発表予定である。 4. コントロール、慢性ストレス負荷ラットに痺痛刺激を加え、高位中枢でのp-ERK、c-fosの発現を免疫組織学的に調査中である。
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