研究課題/領域番号 |
20602009
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
熊澤 孝朗 愛知医科大学, 客員教授 (20022775)
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研究分担者 |
岩瀬 敏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90184879)
大石 仁 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00252461)
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キーワード | 慢性痛 / 動物モデル / 筋障害 / 免疫組織 / 分子生物学 / 自律神経 / 免疫・炎症 / グリア |
研究概要 |
慢性痛の発症起因に着眼して我々が開発した2種類の運動器障害性慢性痛モデル動物を用いた。これらモデルの特徴は、処置部位から離れた部位に10週以上の両側性で二相性のhypersensitivityを示す。 筋侵害性モデル(LPSおよび高張食塩水を一側の腓腹筋に注入したモデル) 免疫炎症系の背景を作り上げた後、侵害的な刺激を受けさせるモデルであり、これまでに、幼若ラットへの処置およびLPS増量処置が慢性期のhypersensitivityを完全に阻害し、免疫系と神経系の絶妙な関わり合いが慢性痛発症に重要であることが示された。神経ブロックの実験から、急性期と慢性期のhypersensitivityは発信源が異なる(急性期は中枢の一過性感作、慢性期は可塑的変化)可能性が示された。慢性痛発症群と発症阻害群において、脊髄における物質変化を追い、発症にかかわる物質や発症後慢性痛維持にかかわる物質を検索している。 ギプス固定モデル(一側下肢のギプス固定によるモデル) 血圧プローベを埋め込んだラットを用い、ギプス固定期、痛み行動急性期および慢性期における覚醒状態の自律神経機能を測定し、これまでに安静時および寒冷曝露刺激に対する自律神経機能の変調を捉えている。自律神経遮断薬を用いた予備実験の結果から、ギプス固定期では交感神経機能亢進、慢性期ではその低下が明確になりつつある。長期に渡る実験のため、加齢による自律系変化を考慮したage-matched control群における予備実験では、加齢の影響は否定された。明期暗期における血圧心拍記録および行動量の日内変動の変調も捉えている。データ整理および解析に時間を要する実験系であるため、人的動員が必要であった。 病態各時期の腰髄から仙髄までの脊髄免疫組織学実験では、ミクログリア活性後にアストロサイト活性が起こることが観察され、痛みの拡がりにあわせた活性も観察されている。 トレッドミル運動負荷実験では、運動効果として痛み行動の減弱が示唆されたが、部位による解離も認められており、今後の検討を必要とした。
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