研究課題/領域番号 |
20602019
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
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研究分担者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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キーワード | 疼痛 / TRP / チャネル / 鎮痛 / 脳神経 / 電気生理学 / カルシウム |
研究概要 |
腰痛の発生メカニズムや治療を目的に、平成22年度はTRPチャネルにさらに着目して研究を行った。昨年度、痛みセンサーとして注目されるTRPV1が中枢神経系の視索上核に発現し、浸透圧調節に関係していることを我々は報告したが、脊髄後根神経節細胞(DRG)などではTRPV1はTRPA1と共存していることが多い。このことから、視索上核におけるTRPA1アゴニストの影響を、ラット脳スライス標本を用いて電気生理学的方法で確認した。TRPA1のアゴニストはバゾプレッシン産生ニューロンを興奮させることを発見し、TRPA1が視索上核に存在し、バゾプレッシン産生に関係している可能性を見出した。我々のグループはラット下肢へのTRPA1アゴニストであるホルマリン刺激が、バゾプレッシン分泌を増加させること免疫組織化学的染色法などで見出しているので、これを更に電気生理学的研究で確認したことになる。腰痛は、下肢の神経を圧迫するなどして、下肢の感覚に影響を与えることがあるが、その機序にはTRPA1が関係して、バゾプレッシンがストレス反応として分泌され、痛み刺激を緩和する方向に働く可能性が示唆された。その他の受容体やチャネルの研究では、鎮痛剤として使用されるトラマドールがサブスタンスP受容体に抑制的に作用することを、オオサイト発現系を用いて確認した。痛みセンサーとして知られるTRPチャネルが中枢神経系視索上核に作用することを新たに見出した今回の研究は、疼痛緩和を中枢神経系から考える上で新たな可能性を見出したと考えられる。
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