研究課題/領域番号 |
20604001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福住 多一 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (90375387)
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研究分担者 |
小川 佳樹 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (20329056)
仲 重人 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (50275393)
川島 康男 中央大学, 経済学部, 教授 (00062175)
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キーワード | 刑事法学 / ゲーム理論 / 経済理論 / 証拠法 / 行動ゲーム理論 |
研究概要 |
平成21年1月大阪経済大学,同2月北海道大学法学研究科開催のセミナー (http://www.juris.hokudai.ac.jp/gcoe/workshops/Basictheory.html)で、本研究の基本モデルの分析結果を報告した。そこで得られたコメントを元に、平成21年度は基本モデルの数学的な一般化を試みた。 具体的には、基本モデルでは裁判における証拠を、弱い証拠から強い証拠へと1次元の直線上に並べる事が出来ると仮定して、モデルを解いた。しかし、これでは質的に異なる証拠の集合に、やや強引に順序構造を持たせることになる。従って、裁判の証拠の空間を多次元の実ベクトル空間と仮定し、その空間の上に、被告が真に犯罪を犯した場合の分布関数と、そうではない場合の分布関数を仮定するというモデルの一般化を試みた。そこでは基本モデルと同様に、均衡における冤罪の発生確率が、証拠基準に対して非常に複雑に反応することが明らかになった。ただし、分析が非常に複雑なものとなり、21年度では様々なパラメーターに対する比較静学の分析結果が、まだ整理しきれずに終了した。 基本モデルの実験にも着手しはじめた。そこで試験的に実験をしていく中で、被験者数を多くすることが研究遂行上の最も難しい点であることが判明してきた。そこでWeb上でゲーム理論実験ができるシステムを21年度末から本研究費を使って開発を試みた。このシステムを使えば、様々な大学の情報処理室などで、パソコンがインターネットに接続してさえいれば同時に本ゲーム理論の実験に参加できる。この画期的なシステムの基本設計が22年3月の時点で、試験的ではあるが一応の基本動作に問題が無い水準にまで到達した。他大学にも実験協力を呼びかけ、了承を得た。22年度からこの本格的な実験実施をする。
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