研究課題/領域番号 |
20604001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福住 多一 筑波大学, 人文社会系, 講師 (90375387)
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研究分担者 |
小川 佳樹 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (20329056)
仲 重人 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50275393)
川島 康男 中央大学, 経済学部, 教授 (00062175)
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キーワード | 刑事法学 / ゲーム理論 / 経済理論 / 証拠法 / 行動ゲーム理論 |
研究概要 |
基本モデルでは裁判における証拠を、弱い証拠から強い証拠へと1次元の直線上に並べる事が出来ると仮定し、モデルを解いた。これでは質的に異なる証拠群の集合に順序構造を持たせることになる。これをより現実的な証拠の取り扱いに近づけるため、裁判の証拠の空間を多次元の実ベクトル空間と仮定し、その空間上で被告が犯罪を犯した場合の分布関数と、そうではない場合の分布関数を仮定し、査察ゲームの証拠法適用モデルへの一般化を試みた。 そこでは基本モデルと同様に、均衡における冤罪の発生確率が、証拠基準に対して非常に複雑に反応することが明らかになった。分析が非常に複雑なものとなったが、ある程度の整理を完了し、現在、法学の見地から適切な解釈を加えているところである。 モデルの実験研究も試みたが、試験的な実験を重ねる中で,被験者達が実験の説明段階での細かいストーリーや選択肢の表記方法に反応して行動を変えてしまうことが散見された。そこで、これらはフレーム効果の一種であろうという見地から、確率進化ゲームをベースにしてフレーム効果の一般的なモデルの構築に着手し、一定の結論を得た。 現在、査察ゲームをベースにした証拠法のオリジナルなゲーム・モデルの分析結果をまとめており、それらに法学的に適切な解釈を加えつつ論文を作成中である。
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