本研究は刑事訴訟法をゲーム理論や行動経済学の分析手法により解析し、この法システムが社会秩序に与える影響を明らかにする。特に被告人の供述の採取にまつわる問題(黙秘権・自白の証拠能力などに関する問題)に関心を寄せ、査察ゲームのモデルを基本的な分析手法として用いる。標準的な理論的分析に加えて、進展の著しい行動ゲーム理論とその実験や進化ゲーム理論の研究で蓄積されてきた実験に基づく科学的分析を本研究では試みる。分析を通して法学者と経済学者、それぞれの専門的な知見の溝を埋め、これからの社会秩序政策の在り方を共同で提起する。また、応用研究として懲罰的な意味合いのある独占禁止法など産業の競争促進政策に関する分析も進める。
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