本研究(「情報化社会における公序の形成・維持と法制度」)においては、21世紀の本格的な高度情報ネットワーク社会において国民・社会からの信頼が得られる法制度をどのように設計するべきかについての基本的な提言を行うことを目的としており、平成21年度には中間的段階として、次の観点から研究を実施した。 ・電子政府における法の実効性の担保、サイバースペースにおける法制度の整備のあり方法制度を整備する上で、制定する法の実効性を確保するには、法が形式的意味で適正な手続で制定されるだけではなく、その内容について法の目的、目的達成手段等が実体的にも適正なものである必要がある。このため、近時制定されている法についての研究を継続した。 ・情報通信機器を活用する場合のリスクと法との関係 リスクマネジメントという概念に対して既存の法制度は十分に対応できず、いわゆるPDCAサイクル等は法制度とは整合しない一面を持っていることに関する研究を継続した。 ・電子投票法に関する研究 情報化社会における公序の形成の一手段としての電子投票に引き続き着目し、各国における近時の動向について研究を継続した。 ・第三者認証評価のあり方 情報化社会における公序の形成の一手段として、法規制によるのではなく、ソフト・ローや第三者認証評価制度が用いられるようになってきているが、その問題点や法的位置づけについて、ヨーロッパやアメリカと比較しながら研究を行った。特に個人情報保護における第三者認証評価制度の問題点を明らかにした。
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