本年度は、昨年度の研究結果が人文社会学的にみても自然なコミュニケーションを支援していることを検証することを中心に実験を実施した。 対人コミュニケーションにおいては、F陣形という体勢が構築されるということが、人文社会学では指摘されている。そこで、このF陣形という概念を展示案内ロボットに導入することで、 1)ロボットと複数人の鑑賞者の間でF陣形が構成されること。 2)複数人の鑑賞者がロボットと移動したあともF陣形が再構成されること。 3)鑑賞者に対するロボットの視線の有無が複数人の鑑賞者の間のF陣形に与える効果。 以上の三点について調べた。 ロボットについては、昨年度のロボットに腰による回転機構を追加することで、上半身と下半身が独自に動くように改良した。このような改良を加えることで、足は展示物の方向、上半身は鑑賞者の方向に向けることが可能となった。また、この機構を追加することでロボットでもF陣形を構成できるようにした。 複数回の実験より、 1)複数人の鑑賞者においてF陣形が構成されること。 2)複数人の鑑賞者が移動する際はF陣形を再構成するように移動すること。 3)ロボットが移動中に視線を鑑賞者に向けると、より鑑賞者が展示物に近づく可能性があること。 の三点がわかった。
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